Boot Camp

Boot Campとは

Boot Camp（ブートキャンプ）は、Appleが開発・配布しているソフトウェアで、Intel MacにMicrosoft Windowsをインストールし、macOSとのデュアルブート環境を構築するためのものです。2006年にIntel製CPUを搭載したMacが登場した際、AppleはWindowsの利用を積極的に支援する立場を表明しました。Boot Campは、この方針のもと、Windows XPのサポートから始まり、多くのバージョンアップを経て、最新のWindows 10まで対応してきました。

ただし、Windows 11のシステム要件であるTPM 2.0に対応していないため、2025年3月をもって事実上のサポート終了となる予定です。Appleシリコン搭載モデルでは、Boot Campは利用できません。

Boot Campの機能

Boot Campは、Intel MacのハードディスクにmacOSを残したまま、Windowsをインストールするためのパーティションを作成する機能を提供します。また、Windowsインストール後に、Macで使われている無線LANやビデオカードなどのデバイスドライバをインストールするためのドライバCD-Rを作成する機能も備えています。

従来のWindowsインストール方法では、専門知識が必要で、ライセンスに関しても不明確な点がありましたが、Boot Campによって、これらの問題が解決されました。シンプルで使いやすいインターフェースにより、専門知識のないユーザーでも簡単にWindowsをインストールし、macOSとのデュアルブート環境を構築できるようになりました。

仮想化環境との違い

Boot Campは、仮想化ソフトウェア（Parallels Desktop for MacやVMware Fusionなど）とは異なり、OS起動時にmacOSかWindowsを選択するシンプルなOSローダー機能を提供します。仮想化ソフトウェアのように、macOS上で仮想的にWindowsを動かすのではなく、ハードウェアリソースを直接Windowsに割り当てるため、より高いパフォーマンスが期待できます。

ただし、仮想化ソフトウェアと併用する場合は、Windowsのライセンスポリシーに注意が必要です。Windows 7までは、1つのライセンスでBoot Camp環境と仮想環境の両方で利用できましたが、Windows 8以降では、基本的にそれぞれの環境で個別のライセンスが必要になります。そのため、Boot Camp環境でライセンス認証したOSを仮想環境で利用するには、追加でライセンスが必要になります。

Boot Campのバージョン履歴

以下に、Boot Campの主なバージョンと対応内容をまとめます。

1.0.1 Beta (2006年4月5日)
最初の公開バージョン。ドライバの完成度が低く、動作に問題が多かった。
Windows XP SP2のみに対応。
1.0.2 Beta (2006年7月12日)
バグフィクス版。
1.1 Beta (2006年8月18日)
MacBookの無線LAN、iSightカメラ、キーボードの問題を部分的に解決。
インストールがより簡単になり、安定した。
1.1.2 Beta (2006年10月30日)
ドライバの追加と安定化。
1.2 Beta (2007年3月29日)
Windows Vistaをサポート。
Apple Remoteが利用可能になった。
タスクトレイにBoot Campメニューが登場。
1.3 Beta (2007年6月7日)
バックライトキーボード対応（MacBook Proのみ）。
各言語キーボードのサポート強化。
Apple Remoteのペアリングが可能に。
1.4 Beta (2007年8月8日)
iMac (Mid 2007)に対応。
グラフィックドライバのアップデート。
2.0 (2007年10月26日)
Mac OS X v10.5に付属する正式版。
2.1 (2008年4月25日)
Windows XP SP3に対応。
バグフィックス。
3.0 (2009年8月28日)
Mac OS X v10.6に付属する正式版。
WindowsからMac OS XのHFSフォーマットのハードディスク内を閲覧可能に。
Windows 7のインストールに対応（正式対応ではない）。
3.1 (2010年1月20日)
Windows 7に正式対応。
Apple製トラックパッド、Apple Wireless Keyboard、Apple Magic Mouseのサポート。
3.2 (2010年11月19日)
ATI-Radeon HD 5870 graphics card, Apple USB Ethernet Adapter, MacBook Air SuperDriveをサポート。
重要なバグフィックス。
3.3 (2011年8月24日)
新しいハードウェアのサポート。
Windows XP、Windows Vistaのサポートを終了。
4.0 (2012年6月20日)
すべてのバージョンのWindows XP、Windows Vistaのサポートを終了。
USBメディア内のISOイメージからのインストールをサポート。
5.0 (2013年3月14日)
Windows 8（64ビット）をサポート。
3TBのHDDを搭載したMacをサポート。
32ビット版Windows 7のサポートを終了。
5.1 (2014年2月11日)
Windows 8.1（64ビット）をサポート。
5.1.2 (2014年10月16日)
6.0 (2015年8月13日)
Windows 10（64ビット）をサポート。
対応機種が限定された。
6.0.1 (2015年12月8日)

未対応問題と対応策

初期バージョンでは、Windows XPからMac側のハードディスクにアクセスできませんでしたが、バージョン3.0以降で対応しました。
キーボードについては、AppleKやKbdAppleなどのMac系キーボード用ドライバで多くの問題が解決できます。

関連項目

Parallels Desktop for Mac
VMware Fusion

外部リンク

Boot Camp（日本語）

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